【耳嚢】倹約を守る歌の事
今夜も耳嚢から一つお話をご紹介しましょう。
いつの世も倹約が尊ばれます。しかし逆にいえば無駄遣いが多いからこそ倹約をことさら言わねばならない。
さて卑小な例ながら、わしは麦酒などついつい無駄遣いしてしまいがち。身の丈に合った生活。あなたはなさっていますか?
『倹約を守る歌の事』
当代の紀州藩主、徳川治貞公は左京太夫であった頃から文武に長け、賢く徳を備えたお方と評判であった。天明元年(西暦1781年)の夏、紀州公が読まれた歌はこのようなことでございますとの話を聞いた。有難いことであると思う気持ちそのままに記す。真偽のほどは不明であるが。
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人馬を持ち、武器を用意し、勤めを怠らず果たそうと思うのであれば倹約することを守らねばならぬ。その倹約の仕方とは、我が身に足りぬものについてじっとこらえることである。
事足れば足るにまかせて事足らず たらで事足る身こそ安けれ
(足りるにまかせて費消すれば結局は足りなくなる。それよりも身の丈に合った範囲の中でやっていけば心穏やかに過ごせるのである)
※岩波文庫版の注釈に、この歌は水戸光圀のものと指摘する鈴木棠三説の紹介あり
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