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2003.08.31

夢(2)

子供の頃にみた夢である。いや、夢というより幻聴というべきか。
夏のある夜のことだった。ふとある声が聞こえてきた。「うえの?、うえの?」とわしの名字を呼ぶ男がいる。その声に合わせるように、「ぴたっ」とも「ぴちゃっ」とも書き表せないような音が聞える。足音とも思えるし、水が蛇口から漏れて落ちる音にも聞える。誰かが家がある路地の角を曲がり、こちらに向かってくる気配を感じた。はっとして起きる。部屋を見回してみる。すでにみんな寝入ってしまっている。当時はほんの子供だったので、家族みんなが一つの部屋で寝ていたのである。両親も妹も普通に寝息をたてている。異状はない。起きれば声は聞えないだろうと思ったが、甘かった。夢から醒めているはずなのに、まだ呼び声もぴちゃりぴちゃりという音も聞こえている。気配までしている。家の中まで入ってきたような、そんな気配である。誰かを起こそうともしたが、その勇気は出なかった。時を刻む時計の音がようやく耳に入る。やはり夢ではない。どうしようもなく、そのままふとんに潜りこみ、目を瞑った。声はいつまでも聞えてくる。そして迫るような足音も。やがて、意識がなくなった。眠ったのだろう。翌朝までぐっすり寝たような気はするが、その時の怖さは今になっても憶えている。

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